腸内細菌の理想のバランスは「2:1:7」。健康維持は腸と毎日の食事から。
2016.10.31
私たちの腸には、多種多様な種類の細菌が住んでいて、その数はなんと100兆個以上と言われています。そんな腸内の細菌にもさまざまな種類があり、細菌同士がつくり出す腸内の生態系を、「腸内フローラ」と呼びます。その影響力はとても強く、身体の機能や病気、心のバランスまで、腸内細菌が健康の鍵を握っているようです。
腸内環境が体にもたらす影響。悪玉菌と生活習慣病との関係について。
腸内に住む菌は、健康に良い影響を与える「善玉菌」と、悪い働きをする「悪玉菌」、そして、両者のどちらか優位な方についてその働きに加担する「日和見(ひよりみ)菌」の3種類に分かれます。
善玉菌として有名なのは、乳酸菌やビフィズス菌です。数が増えると働きが活発になって腸の運動を促すほか、有害物質を体外に排出する助けをしたり、免疫細胞を活性化したりするなど、健康に関わる働きをサポートします。また、悪玉菌の増殖や侵入を防ぐのも役割の一つ。
悪玉菌には、ウェルシュ菌やブドウ球菌などがあります。腸内で有害物質をつくったり、便秘や下痢などを起こしたりします。しかし、病原菌を退治するといった重要な役割もあるため、なくなればいい、というものでもありません。
また、日和見菌の中でも特に代表的なのが、大腸菌です。普段は善玉菌と悪玉菌の、どちらにも属さない腸内細菌ですが、そのバランスが崩れると優勢な方について作用するのが特徴です。
これら腸内細菌の理想的なバランスは、「善玉菌2割:悪玉菌1割:日和見菌7割」だと言われています。ところが、ちょっとした食生活や生活習慣で細菌のバランスは簡単に変わってしまうのです。
悪玉菌が増えると健康リスクが増大! 不調を招いて、やがて病気に。
必要以上に悪玉菌が増えて優勢になると、腸内に腐敗物が溜まってしまうようになります。同時に発生する有毒物質が善玉菌の働きを妨げるようになり、健康へのリスクが高まります。便秘や下痢が起きるのも、腸内環境が乱れている証拠。また、便秘によって便が長く腸にとどまると、悪玉菌が増えて肌荒れやイライラの原因になります。さらに長期間に渡って悪玉菌が優勢になると、不調が悪化して病気を招いたり、アレルギーを起こしたりすることも。
悪玉菌は、動物性脂肪が多い食事や、ジャンクフードなどの加工食品が増えると活発になります。また、ストレスや睡眠不足が続くなど、乱れた生活習慣も悪玉菌を増やす原因となります。
健康は良い腸内環境から。食物繊維と発酵食品で善玉菌を増やす!
食事による栄養を吸収する器官ということもあり、腸を健康に保つことは健康維持のためにも非常に効果的です。それでは、善玉菌を増やすためにはどんな方法がふさわしいのでしょうか。
まず、ヨーグルトや納豆、ぬか漬けなどの発酵食品を摂ることがおすすめです。特に善玉菌の代表である乳酸菌は、種類が多く、働きもさまざま。1種類ではなく、色々な乳酸菌を摂れるように食事を工夫したいところ。また、善玉菌のエサとなるゴボウやキノコや青菜といった食物繊維が豊富な食物も必要です。日本人の食物繊維の摂取量は年々減りつつあり、意識して摂りたいですね。
まとめ
腸内細菌のバランスが崩れてしまうと、消化器系だけでなく、肥満や肌荒れ、場合によっては老化や生活習慣病の原因になることも。腸内細菌のバランスを意識して、良い生活習慣を続けられるよう心がけたいですね。